痛みを理解することで、痛みから開放される?
自分の痛みはどんなパターン?
人間は、生きていく中で様々な痛みを感じながら生きていきます。人間の疼痛に対する反応は、個々に様々で、痛みへの対処法も個人によって効果はかなり変わるとされています。人がAという方法で良くなったとしても、貴方に効果があるとは一概には言えません。
では、痛みを解消するにはまずどうすればいいのでしょうか?
その方法の一つが自分の痛みを理解することです。基本的に痛みとは各部位に起こる侵害受容器の反応が脳内へ刺激が入ることで痛み(疼痛)を感じます。
なので、脳内で痛みと理解しなければ痛みは感じることはありません。また、脳内での情報を過剰な刺激として処理することでいつも以上に痛み(疼痛)を感じることが有ります。
まずは、痛みについて理解してみましょう。少し難しい言葉も有るかもしれませんが、読んでみる価値は有ると思います。
痛み(疼痛[とうつう])とは?
体に損傷が起きたこと、あるいは起きた可能性があることを知らせる不快な感覚のことです。
人が医療機関を受診する理由として最も多いのが痛みです。痛みには、鋭い痛みか鈍い痛みか、断続的か持続的か、脈打つような痛みか一定した痛みか、などの種類があります。
ときには、非常に説明しにくい痛みもあります。痛みは1カ所に限定して感じられることもあれば、広い範囲で感じられることもあります。痛みの強さは、軽いものから耐えがたいものまでさまざまです。
痛みをどの程度耐えられるかには、大きな個人差があります。小さな切り傷や打撲傷の痛みでも耐えられない人もいれば、大きな事故や刃物による傷による痛みがあってもほとんど不平を言わず耐える人もいます。痛みをどの程度耐えられるかは、気分、性格、状況などによって異なります。たとえばスポーツ選手は、試合で興奮しているときはひどい打撲傷を負っても気づかず、試合後(特に負けたとき)に痛みをはっきり感じることがあります。
急性の痛みと慢性の痛み
痛みには急性の痛みと慢性の痛みとがあります。急性の痛みは突然起こり、通常長くは続きません。慢性の痛みは数週間から数カ月続きます。
以下のいずれかに当てはまるときは、通常、慢性の痛みとみなされます。
・病気やけがの状態から予想されるより1カ月以上長く続く
・数カ月から数年にわたって痛みが再発したり消えたりする
・慢性疾患(癌、関節炎、糖尿病、線維筋痛症など)または治らないけがに伴って起きている
急性の強い痛みがあると、不安、心拍数や呼吸数の増加、血圧の上昇、発汗、瞳孔の散大などが起こります。通常、慢性の痛みはこのような影響を及ぼしませんが、代わりに、抑うつ、睡眠障害、エネルギーの減少、食欲減退、体重減少、性欲の減退、活動意欲の喪失といった問題を起こすことがあります。
慢性の痛みで治療を受けている人の多くが、短時間の強い(非常に強いことも多い)痛みを経験します。この痛みは、定期的な痛みの治療を行っているにもかかわらず突然出現するもので、突出痛と呼ばれます。典型的な突出痛は、突然始まり、長い場合で1時間ほど続きます。痛みの感じは、痛みが強いことを除けば、もともとの慢性痛とよく似ています。突出痛には個人差があり、多くの場合は予測不能です。
慢性の痛みによって、痛みに対する神経系の感受性が高くなることがあります。
たとえば慢性の痛みは、痛みの信号を検出し、送り、受け取る神経線維と神経細胞を繰り返し刺激します。刺激が繰り返されると、神経線維と神経細胞の構造が変わったり、活動性が高まったりすることがあり、そのために、脊髄や脳への痛みの伝達が増えることがあります。その結果、通常なら痛くない刺激でも痛みが生じるか、あるいは痛みの刺激がより強く感じられることがあります。
痛みが繰り返し起きると、恐怖と不安が生じて、痛みを予期するようになることがあります。こうした感情が体を刺激すると、痛みをより強く感じる物質が作られます。その一例がプロスタグランジンで、この物質が作用すると、神経細胞は痛みの信号に反応しやすくなります。恐怖と不安は、痛みに対する神経細胞の感受性を下げる物質の産生を低下させることもあります。その一例は、体がもともと持っている痛み止め物質、エンドルフィンです。疲労も、痛みに対して恐怖や不安と同じ影響を及ぼすことがあります。
原因が解消した後も痛みが続いたり、痛みが予想以上に強く感じられたりすることがあるのは、痛みに対する感受性がこのように変化することも理由のひとつです。