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どんな病気か

空気中に浮遊する微粒子(約1~5μm)である粉じんを肺に吸入することによって肺に生じる病気で、肺内に線維性病変などをつくります。
多くは、粉じんを吸入する環境ではたらく場合に発症することで、職業性疾患に分類されます。
粉じんの吸入から発症までには、吸入する粉じんの量にもよりますが、一般に長期間を必要とします。

原因

粉じんの吸入によって起こりますが、粉じんの種類は数多くあります。病気になるのは、この粉じんが肺内に沈着して、肺の線維化、気管支炎、気管支拡張などを起こすためです。
そのため、病変が進行すると肺からの酸素の取り込みの低下が強まって、呼吸困難などが生じます。
代表的なものには、鉱山、石工、トンネル工事などで起こる珪肺症と造船業、建設業で起こる 石綿肺があります。以下、この代表的な2つの病気について解説をします。

1.珪肺症(けいはいしょう)

どんな病気か

数年から十数年の長期間にわたり、遊離珪酸(SiO2)の粉じんを吸いこんだ人に発症するじん肺で、珪肺症と呼ばれています。
職業性肺疾患であり、鉱山での作業、砂岩や花こう岩の切り出し、研磨作業、トンネル工事、鋳物工場での作業、陶器職人など、日常的に珪酸を吸入する環境での仕事により発症します。
吸いこんだ珪酸は肺に到達し、肺組織を障害し、さらにマクロファージ、上皮などを刺激することにより線維化を起こす病気です。
障害のはじまりは、上側の肺に密な粒状の陰影がみられ、さらにそれらが、徐々に結合して大きなかたまりになり、 塊状となります。

症状

珪肺の病変は軽快することはなく、緩徐に進行していくといわれています。
症状は、珪酸によりできた肺内の線維化巣、結節病変などにより呼吸機能の低下が起こり、呼吸困難などの症状が出現するようになります。
初期は無症状ですが、進行とともに咳、痰、また労作時呼吸困難、倦怠感、体重減少、さらに安静時にも呼吸困難が出現するようになります。
合併症として注意しなければならないものに、 結核、 気管支拡張症、気胸、肺などがあります。
また、まれな合併症ですが、カプラン症候群と呼ばれる、関節リウマチに合併し、両側の肺に円形の塊状陰影を示す病態があります。

治療の方法

根本的な治療法はなく、喀痰が多い場合には去痰薬の投与、さらに合併症に対する治療が行われます。また、低酸素状態に対しては酸素療法が行われます。
重要なことは、予防であり、職場で珪酸を吸入しないようにすることです。
そのためには、粉じんの発生を避けるようにすること、作業所にフィルターをつけることによる粉じんの除去やマスクを着けるなどにより、肺内に珪酸が入らないようにします。

2.石綿肺

どんな病気か

石綿(アスベスト)を吸い込み、長い期間をかけて 胸膜を中心とした病変を生じさせるじん肺です。
このアスベストの種類には、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、クリソタイル(白石綿)などが知られ、不燃性、耐熱性、非腐食性に優れ、軽く、強度があり、加工しやすいなどの特性により、建築現場をはじめとするさまざまな分野で使用されてきました。

アスベストによる呼吸疾患には、主に以下のようなものがあります。

(1)胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)

壁側胸膜の限局性胸膜肥厚(1~10mm)で、アスベスト 曝露ばくろによって起きる最も早期の病変で、高頻度であることが知られています。
ほとんどの場合、胸膜プラークのみによる症状はみられません。

(2)胸膜中皮腫

胸膜から発生する悪性の腫瘍で、曝露から時間がたつにつれて発生頻度が高くなります。
従来、限局型と呼ばれていた多くの胸膜中皮腫は、単発性線維性腫瘍という別の名称で呼ばれるようになっています。

(3)アスベスト肺

アスベストの高濃度曝露によって発症し、胸部画像では両側下肺野に線状・網状陰影が内側から外側に、また下肺から上肺に病変が広がり、進行して 蜂巣肺がみられるようになります。
胸部X線写真では、特発性間質性肺炎、 膠原病性間質性肺炎などと類似していることが多く、鑑別が必要です。
確定診断には、アスベスト曝露の職業歴とともに、組織や細胞診断などによる病理組織・細胞診診断も重要となります。

(4)肺がん

アスベストそのものによる発がん作用と、アスベストによる肺線維化病変からの肺がんが考えられています。
さらに、喫煙はアスベストによる肺がん発生のリスクを顕著に高めることが知られ、禁煙はアスベストによる肺がん発生の予防となります。

(5)良性石綿胸水

本症は、アスベスト曝露があり、悪性腫瘍、 結核、膠原病などの他の原因がない胸水(多くは片側)で、さらに、胸水発生後3年間、悪性腫瘍が認められない場合に診断され、診断においては除外診断が重要となります。多くは、1~10カ月で自然軽快します。

(6)びまん性胸膜肥厚

本症は、胸膜の肥厚が少なくとも5mm以上で、広がりが片側の肺の50%以上、両側の場合は25%以上で、著しい肺機能障害を認める場合に診断されます。

(7) 円形無気肺

胸膜の癒着や線維化によって起こる末梢性の無気肺で、円形の腫瘤性陰影を示し、下葉背側に好発します。肺腫瘍との鑑別が必要になります。

症状

初期は無症状で、ゆっくりと進行し、労作時呼吸困難(歩行などの労作における呼吸困難)、咳などが生じます。
さらに進行すると、安静時呼吸困難が出現するようになります。

治療の方法

根本的な治療はなく、呼吸不全に対する酸素療法、去痰薬の投与などに加えて、喫煙は肺がんの発生を高頻度とするため、禁煙が重要です。
また、合併症として発症する肺がんの外科的治療が重要であり、早期に発見する必要があります。
悪性胸膜中皮は早期に発見することが困難で、外科的治療の適応例が少ないのが現状です。
進行した肺がん、また胸膜中皮腫は抗がん化学療法の適応となりますが、予後は決してよくはありません。
なお、石綿に関連した健康被害の補償制度があり、本症が疑われる場合、また診断を受けた場合などには考慮すべきです。